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不動産売却における土地の評価額とは?特徴や調べ方について解説
土地の売却を検討している方のなかには、どのように評価額を算定したら良いかわからないという方も多いのではないでしょうか。
しかし、評価するうえでの指標がいくつもあり、状況によっても大きく変動するため難しいのは事実です。
そこで今回は、不動産売却における土地の評価額とは何かご説明したうえで、特徴や調べ方についても解説します。
不動産売却における土地の評価額とは
土地は「一物五価」と言われ、ひとつの土地に対し5つの評価があることを示しています。
5つの評価とは、「実勢価格」「公示価格」「基準地価」「相続税路線価」「固定資産税評価額」です。
このなかの実勢価格以外は、公的機関によって算定されています。
また、不動産の価格はさまざまな要因によって常に変動しています。
具体的には、社会的要因や地域的要因、個別的要因などです。
社会的要因
不動産の価格は社会状況によって大きく変動し、そのときの景気によっても大きく左右されるのが特徴です。
2008年のリーマンショックでは、世界的大不況の影響によって価格が下がり、資産価値も大きく下落しました。
しかし、東京オリンピック開催の決定後から、競技場や選手村付近で地価上昇が継続し、全国的にも地価の上昇が起こりました。
また、特区の設定・税制の改正などによっても大きく変動します。
地域的要因
地域的要因とは、ほかの地域では変動が起きていないにも関わらず、その地域ならではの事情によって大きく変動することです。
たとえば、幹線道路や高速道路の開通、大型施設の建設がおこなわれると、周辺地域の価格も大きく上昇し、それに伴い資産価値も大きく上がります。
一方、大きな災害に遭った地域では、価格が下がり価値もほとんどつかなくなる可能性もあります。
個別的要因
土地には面積や高低差、形などそれぞれに特徴があります。
同じ地域や面積であっても立地条件によって大きな影響を受けたり、利便性の高いほうがより高い評価が得られます。
固定資産税評価額の見直し
基準地価や公示地価は毎年見直しがおこなわれるのに対し、固定資産税評価額は、3年に一度しか見直しがおこなわれません。
本来は、毎年調査し改定するべきですが、調査による負担が大きすぎることもあり、3年に一度と決められています。
しかし、納税時の基準となるうえ、売却相場を知る際の参考にもなる重要なものです。
不動産売却における5つの土地評価額の特徴
評価額にはそれぞれ目的があり、評価する方法もそれぞれ違いがあります。
ここでは、5つの特徴についてご紹介します。
実勢価格
実勢価格とは、時価と言われるもので、実際に取引された価格のことです。
たとえば、魚や野菜などは季節や量によって大きく値段が変動します。
収穫が多くなる旬の時期には安く、なかなか手に入らない時期では高くなるのが一般的です。
それと同様に、土地の価格も大きく変動します。
需要と供給の関係や景気の動向によって左右されるのが特徴です。
実際の取引価格は、さまざまな要因によって変動するため、売却を急いでいない場合は高価売却が期待できる時期を狙うと良いでしょう。
公示価格
公示価格とは、国土交通省が毎年3月に公表する価格のことです。
全国には2万3,000か所の標準地があり、その年の1月1日時点で基準地1㎡あたりの価格を評価し公表します。
鑑定方法は、1か所につき2名以上の鑑定士が別々に鑑定をおこない、結果を受けた国土交通省の土地鑑定委員会が、審査したうえで公示地価が決定します。
公的機関による評価価格ですが、税額を決めることは目的としていません。
基準地価
基準地価とは、各都道府県が選定した基準地の価格のことです。
毎年1月と7月の2回に分けて鑑定し公表されます。
鑑定方法は、1名以上の鑑定士が基準地1㎡あたりの地価を鑑定し、都道府県知事が公表します。
鑑定理由は、指標を示すことで売買や補償額の算定に役立てるためです。
相続税路線価
相続税路線価とは、国税庁が鑑定し公表する価格のことです。
相続税や贈与税の課税額を算定するために設定されています。
国税庁が毎年1月1日時点で調査し、7月に発表する「財産評価基準書」で公表します。
また、「路線価」の路線は道路を表し、道路ごとに設定されているため、道路に面した土地の1㎡あたりの価格が公表されている価格です。
固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、市区町村が固定資産税・都市計画税・不動産取得税・登録免許税を算定するために定めた価格です。
これらの税金は、土地や建物の不動産に対して毎年課税される税金で、その価値に対して税率が定められます。
固定資産税評価額に、それぞれの定められた税率を掛けて課税額が決定します。
不動産売却における土地の評価額の調べ方
同じ土地であっても、評価額を決めている機関がそれぞれ異なるため、評価額の調べ方も異なります。
ここでは、5つの評価額の調べ方についてご紹介します。
実勢価格
実際の取引価格を調べるには、国土交通省が運用している「レインズ」や「土地情報総合サイト」がおすすめです。
基本的に、売却を依頼された際、レインズに情報を登録し広く公開しなければなりません。
土地情報総合サイトは、公示地価や基準地価だけでなく成約価格も検索できます。
実際に売買をおこなった方の生の声が反映されているため、相場を調べるのにもっとも適したサイトと言えるでしょう。
公示価格
公示地価は「土地情報総合システム」によって調べます。
サイトから「公示地価・都道府県地価調査」へと進み、調べたい都道府県・市区町村を絞り込んでいきます。
すると、調査した年や土地の用途区分、地価などが絞り込まれ、その市区町村に合った地点の公示地価が表示される仕組みです。
基準地価
基準地価も公示地価と同様「土地情報総合システム」によって調べます。
検索方法も同じで、基準地価のみを反映させたい場合は、「都道府県地価調査のみ」にチェックを入れて検索します。
すると、都道府県が調査した基準地価のみが表示される仕組みです。
相続税路線価
相続税路線価や路線価が適用されていない地域では、国税庁の「路線図・評価倍率表」で調べられます。
サイトから、調べたい都道府県・市区町村・郵便番号を選択すると道路ごとの路線価が表示されます。
しかし、路線価が設定されておらず、倍率方式が適用される区域では郵便番号が表示されません。
また、倍率地域と表示された場所では倍率方式の適用となります。
続いて、路線価方式の計算方法について解説します。
路線価図の道路に「37C」と表記されている場合、「37」は1㎡あたりの相続税評価額が「3.7万円」であるという意味です。
一方、アルファベットは借地権割合を表し、Aの90%〜Gの30%まで設定されています。
したがって、3.7万円の土地を100㎡所有している場合、3.7万円×100㎡=370万円となります。
固定資産税評価額
固定資産税評価額は4つの調べ方があります。
1つ目は、固定資産税の明細書で確認する方法です。
毎年4月から6月に郵送されるため、もっとも簡単に調べられます。
2つ目は、固定資産評価証明書で確認する方法です。
役所の固定資産税台帳に登録された物件価値を証明する書類のことを言い、取得するのに300円程度の手数料がかかります。
3つ目は、公租公課証明書で確認する方法です。
評価額や課税標準額だけでなく、軽減税率を適用している場合、実際の課税率が記載されています。
4つ目は、固定資産課税台帳で確認する方法です。
固定資産税の課税根拠を明確にするための台帳で、都税事務所や市区町村役場で閲覧できます。
まとめ
土地は、実勢価格・公示価格・基準地価・相続税路線価・固定資産税評価額の5つの評価によって算定されます。
実勢価格以外は、公的機関によって算定され、価格はさまざまな要因によって常に変動しているのが特徴です。
自分で調べられますが、売却を急いでいない場合は高価売却が期待できる時期を狙うと良いでしょう。